8月4日(日本時間5日未明)、ロンドンで開幕した世界陸上。大会初日の男子100メートル予選では、世界陸上で史上最多11個の金メダルを獲得、五輪では2008年北京大会から100メートルと200メートルを3連覇し、今大会限りでの引退を表明しているウサイン・ボルト(ジャマイカ)のラストランに注目が集まったが(個人種目は100メートルのみのエントリー)、日本勢の先陣を切って登場したサニブラウン・アブデルハキーム(東京陸協)、多田修平(関西学院大)、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)の3人も全員が準決勝進出を決めるなど高いポテンシャルを示した。
各組上位3人に加え、4位以下のタイム上位6人の計24人が準決勝に進出できる予選。10秒0台の選手を3人そろえ、日本人初の9秒台への期待もかかったが、最も可能性を感じさせたのは、やはり6月の日本選手権で100メートルと200メートルの2冠に輝いた弱冠18歳のサニブラウンだった。
予選2組に登場すると全6組中では最も強かった向かい風0.6メートルのなか、現地入り後も練習を重ねてきたスタートからトップに立つと、同組の11年世界陸上100メートル優勝のヨハン・ブレーク(ジャマイカ)を寄せ付けない走りで、最後は余裕もうかがわせた。
2組の1着で、全体でも6位と好発進。タイムも自己ベストタイの10秒05。
「ちょっと寒かったので心配だったんですけど、(体は)動いた。(硬くなることなく)逆に緊張しなくて大丈夫かなというくらいだった」
自身2度目の大舞台にも緊張は一切なく、リラックスして臨めたのがよかったとしたサニブラウン。実力者ブレークに先着したことを聞かれても「自分は自分。レースに集中していたのがよかった」と周りに動じることのない精神的な強さも見せた。
過去の世界陸上では9秒台を出した選手はすべて決勝に進出している。サニブラウン自身は、大会前に「9秒台は意識していない。条件がそろえばおのずと出てくる」と話していたが、日本人初の9秒台、決勝進出はもうすぐそこまで来ていると言っても過言ではない。