鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍
鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍

 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「40代と50代の差」をテーマに送る。

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 今日は40歳を超えた団ジュニ世代にぜひ見ていただきたい映画がある。7月15日に公開された、ピクサーの「カーズ/クロスロード」(「カーズ3」)。「カーズ」を見たことなくても、車が擬人化されてて話すやつでしょ?くらいの知識はあると思う。今まで「カーズ」を見たことない人でも設定はすぐに理解できる。

 で、この「カーズ3」の内容がすごいのだ。40歳以上のサラリーマンが見たら、胸に突き刺さりまくると思う。

 主人公は赤い車、マックィーン。人気のベテランレーサー(車だけどね)マックィーンだが、今回、新世代ルーキー・ストームが登場して、レース中にその焦りから、大クラッシュを起こしてしまう。

 そこから、リハビリ的なことも含めて、マックィーンは新たな場所でトレーニングを行うことになるのだが。今回のテーマは「老い」である。

 人気も実力もあった主人公が、年を重ねて、その年を取ったことを認めていく物語なのだ。子供向けなのに、なんて設定なんだ。

 物語の中で主人公のマックィーンは、ある人物から言われるのだ。「老いと認めろ」と。この台詞が出たときには驚いた。

 言ってしまえば、「カーズ」のような物語はヒーローものである。そのヒーローが年老いたことを認めろと周りにせまられて、それを認め、新たな選択をしていくのだ。

 これ以上、物語の先は書かないが、想像を超えた展開になっていく。年老いた選手の復帰物語なんて簡単なものではなく、そこには大きな現実を受け入れた結果がある。

 40を過ぎ、40代中盤になってくると、10年前の自分たちのように、30代の経験も積んで体力もあり、力をつけてきた者たちがキラキラ見え始める。本当はキラキラ見えているのに、認められない人も多いのだ。そこを認めたところから、新たな成長があるんだと思う。

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