補助金不正の疑いで、森友学園が運営する幼稚園を立ち入り調査する大阪府教育庁の職員ら (c)朝日新聞社
補助金不正の疑いで、森友学園が運営する幼稚園を立ち入り調査する大阪府教育庁の職員ら (c)朝日新聞社
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 国会が終盤になるにつれ、森友問題の主役、籠池泰典氏周辺では緊張が高まっている。各方面から「国会が終わり次第、逮捕される見込みだ」との情報が次々ともたらされるからだ。事件を追う菅野完氏がその内幕を緊急寄稿した。

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 当の籠池氏本人は「こんだけあちこちから、逮捕される逮捕されると言われたら、もう緊張のしようもないわな」と、半ば泰然自若と構えるが、やはり憔悴の色は隠せない。

 それも当然だろう。国有地の問題に関する第一報から約4カ月。メディアからのバッシング、小学校設置認可申請の取り下げ、顧問弁護士のまさかの逃走、国会への証人喚問などなど、この間、籠池氏の運命は急激な転変を遂げた。

「父はようやってますよ。僕やったら、もう倒れてると思う。ここまでタフな人やったかと改めて感心しますわ」と、長男・佳茂氏は籠池氏の「タフさ」に驚嘆する。

「でも、もうそろそろ限界でしょう。みなさん、父をイジメすぎや。今もまだ、家の前には記者が張り付いてるし、車で移動するたびメディアは追跡する。もうそろそろ、堪忍したってほしいわ」

 しかし、なかなかそうなる気配はない。全国メディアの焦点が加計学園問題にシフトする一方、在阪のメディア各社は未だ、森友問題を追い続けている。

「そりゃ構わんのですよ、国会でも取り上げられる大きな問題になったんやから、どんどん報道してもろたらええ。そやけど、大阪のテレビも新聞も追いかけ方がおかしいやん」との佳茂氏の指摘は半ば正鵠を射ているだろう。在阪メディアの興味は、土地取引の真相や、大阪府教育庁私学課の不透明な決裁プロセスにあるのではなく、どうも籠池夫妻の言動そのものにあるように見受けられる。「疑惑報道」の側面よりも「珍獣紀行」としての色彩が強いのだ。

 こうした報道姿勢からは、大阪府や大阪市の行政としての対応を検証する姿勢がすっぽり抜け落ちてしまっている。例えば、学校法人森友学園系列の「高等森友学園保育園」の保育士不足問題に関する報道など、その最たるものだろう。

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