給与より休暇を優先する20代のイマドキ社員たち。彼ら彼女らの本音はどこにあるのか。そしてそれを理解できない上の世代に対してどう感じているのか。ハピキラFACTORY代表取締役、ソニー新商品企画担当と「パラレルキャリア」を実践、そして経済産業省「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会」委員も務める正能茉優(しょうのう・まゆ)さん(25)が明かす。
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仕事は楽しいけど、だからと言って、仕事が常に生活の中心になるのは、ちょっと違う。
私たちミレニアル世代(※注)は、一言でいえば「バランス重視型」世代です。人生を構成する仕事、恋愛、趣味、家族などの要素のうち、どれか一つに注力して120点を取るのではなく、それぞれは70点でもバランス良くこなすことで、人生全体を120点にしたいという考え方。「なぜ仕事よりプライベートを優先するの?」と聞かれたら、「バランスが大事だから」というだけです。仕事を優先するときもあるけれど、プライベートを優先するときもあって、やっと人生のバランスが取れると思います。
ミレニアル世代の価値観に影響を与えたのは、二つの出来事があります。一つは、私が高校生のときに起きたリーマンショック。将来について考えようというタイミングで、ビルから放り出されるエリートサラリーマンの姿を、ニュースで目にしました。たとえ一流企業に入社して、必死に仕事をこなしても、こういうこともあるのかと驚きました。
もう一つは、大学生のときに起きた東日本大震災です。「仕事ばかり頑張って、やりたいことや家族をないがしろにして、後悔しないのか?」と仕事中心の生き方に疑問を持つようになった。「世の中のために何かしてみたい」という意識が芽生え、学生団体が急増したのも、ちょうどこの時期です。