閑話休題。原稿を書くにあたりKに「(〆切の)本当のリミットはいつ?」と聞いてみた。嫌な書き手です。「日曜日の昼……」「いやいや、それくらいに渡した時はなーんか平気そうでしたよ(微笑)」「日曜夕方……」「もうひと声!!」「月曜……朝……ですかね……でも何かワケがあるんですか?」「別に。なーんか遅れそうな気がしてね」「気がするなら早く書いて!!」。おっしゃる通りだ。
当然初回の収録は済んでいる。実はさっき終わったところ。2月4日昼収録→2月5日夕方放送。少しでもタイムラグを減らし情報漏洩を防ごうということらしい。今回「笑点」のオファーがきて正直相当悩みました。「おめでとう」と言う人もいるだろうし、落語好きや同業者からは「なにも『笑点』出なくてもいいんじゃないの?」と冷ややかな反応もあるかも。決して「おめでたい」ことではないのですよ。茨の道を選んじまったな、と思います。この決断でこれからの人生が少し「面倒くさいが楽しいかんじ」になって、全ては本業の落語に繋がるといいなと思います。
ということでKさん、この原稿は2月5日日曜日17時35分に送信します。イラストのもりい先生、お待たせしてすまんです。今度奢ります。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!
※週刊朝日 2023年2月24日号