落語家・春風亭一之輔さんが週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「発表」。
* * *
この原稿を書いている現在、2月4日土曜夜。〆切は2月3日金曜日。オーバーしているが私は慌てない。
「笑点」の新メンバーが明日2月5日の放送で発表されるというので、世間のその予想合戦は佳境に入っている。はーい、私でしたー。ごめんなさいねー、黙ってて。これを読んでる方は既にご存知でしょうが、今現時点で知ってるのは、私と「笑点」に関わるごく少数のみ。
お題が『発表』なのでこのことを書きたいが〆切は2月3日。発表の2月5日までこの機密情報を週刊朝日に明かすことは出来ない。笑点スタッフから「親兄弟にも情報漏らすなかれ」と脅されているのだ。事情を知らずに人質に取られた末娘は目隠しされ、背中に拳銃、喉元にはサバイバルナイフ、爪の間には畳針、眼球に瞬間接着剤のチューブの先っぽを押し当てられ「他言をすればすぐにイクぞ」と、日テレ社屋の奥の奥の座敷牢に囚われている(イメージ)。「実家も押さえてっかんな」と言われている(イメージ)。それくらいのプレッシャーをかけられているのですよ。怖いね笑点。
案外注目されているこのネタを週刊朝日にリークすることも考えた。なにしろ5月には休刊。私も「最後の恩返し」をさせて頂こうか……とも思ったが、「いや、週刊朝日にはそんな世話にはなってなかったな(棒)」と思い直す。そういえば週刊朝日の休刊を告げられた時も急だった。新刊本の先行販売で110冊も売れて「これからも週刊朝日をよろしくお願いしますっ!(破顔)」とウハウハだった担当編集Kから、翌日「上司からおりいってお話が……」との電話。昨日のお礼かなと思ったら「5月で休刊となりました……」だって。「きゅうな、ジエンド、休刊朝日」。いろはがるたの『き』の読み札にしたいほどの衝撃の発表だった。