林:テレビ番組って栄枯盛衰が激しいじゃないですか。このあいだまで出まくっていたタレントさんが、パッと消えちゃったり。そのなかで出演し続けるって、すごいことですよ。
杉村:ありがたいことです。無職になったときは、つらかったですね。女房子ども抱えてましたから。
林:ご家族でバンクーバーに行かれたんですよね。証券会社時代の貯金があったんですか?
杉村:はい。バンクーバーでひたすらデイトレード(数十分、数時間という超短期で行う株取引)をやったら、えらい儲かりました。デイトレードを推奨するつもりはないんですが、僕は投資家としての才能はあると思います。バンクーバーっていう場所もよかったんですね。
林:私も別荘持っていたのでわかりますが、軽井沢と丸の内が隣り合ってるような雰囲気があるんですよね。都内に自宅を建てるので二十数年前に売っちゃいましたけど、プール付きの豪邸でしたよ。
杉村:すごい。高かったんじゃないですか。
林:バブルのころだったけど、そんなにはしなかったと思う。でも、売るときは半額でしたよ。
杉村:僕らの世代って、好景気を知らないんです。一生知らないままなんじゃないかと思いますね。
林:いまはトランプ効果ですごいっていう週刊誌の見出しを見ましたが、どうなんですか。
杉村:ところが僕、いま持っているのは郵政3社の株だけなんです。僕がいま世の中にあるのは郵政民営化のおかげですから、郵政3社が上場した日に株を買ったんです。この株は未来永劫売らないつもり。それが僕のささやかな政治責任だと思っています。いまはマイナス30%ぐらいになってますけどね(笑)。
林:損しちゃったんだ。
杉村:はい。ただ、それもまた株の魅力だと思っています。
林:いま、バラエティーのお仕事、すごく楽しそうじゃないですか。このあいだ特番を見てたら、マレーシアとシンガポールに行かれていましたが、今後はリポーターみたいな仕事も増やしていこうと?
杉村:まったく考えてないです。使っていただけるならもう何でも。
林:文化人ギャラだったのを交渉して、タレントギャラにしてもらったんですよね。文化人ってタレントとはケタ違いにギャラが安くて、昔は3万とか5万とかでしたよ。
杉村:文化人で5万円いったら最高峰ですが、タレントなら最低給ですからね。僕、番組の1時間あたりのだいたいの制作費をスタッフさんに聞いて、計算してみたんです。スタジオのセット、MCやゲストの出演料、制作スタッフの給与、テレビ局の儲け……、それで「自分のギャラはこのぐらいならいけるんじゃないか」と思って、言ってみたんです。
林:ちゃんとその金額にしてくれたんですか。
杉村:してくれました。
※週刊朝日 2017年4月14日号より抜粋