東大と京大の入試の合格者が、10日発表された。約5800人が難関を突破し、キャンパスは喜びに包まれた。
東大では、工事のために中断されていた合格者の受験番号の学内掲示が4年ぶりに復活した。本郷キャンパス内には、大勢の受験生や保護者らが詰めかけた。
文IIに現役合格した柿沼麻衣花さん(18)は、好きだったSMAP解散に悲しみながらも、勉強を続けた。
「解散はとても悲しかったけれど、受験が終わったらCDを買おうと頑張りました。合格したので、これから買いに行きます」
今年の東大入試の特徴の一つは、理系合格者の平均点や最低点が前年より大きく上がったこと。平均点を前年と比べると、理I、理II、理IIIのいずれも20点前後上がった。文I~文IIIが1~2点の上昇にとどまったのとは対照的だ。上昇の理由は前期入試の数学が前年よりやさしくなったから、と指摘される。
理Iに合格した女子生徒は「数学でこんなに点を取れるなら、理III(医学部)を受ければよかった」と話した。
易化の理由について、一部の予備校関係者からは「数学が苦手な女子生徒が入学しやすいようにしたのでは」との声もある。東大が女子学生比率を2020年までに30%にするとの目標を掲げているからだ。
ただ、推薦入試と前期入試を合わせた合格者計3083人のうち、女子は609人。前年より23人増にとどまった。合格者に占める女子比率も0.9ポイント増の19.8%。駿台教育研究所進学情報センター長の石原賢一さんは「数学の易化は偶然でしょう。来年の難易度は予測できない」と話す。
上位の顔ぶれで目立つのは、渋谷教育学園幕張(千葉)の躍進。前年は計76人だったが、前期速報の段階ですでに前年を上回り、3年連続で増えた。また、開成(東京)は、36年連続の合格者数トップだ。灘(兵庫)、麻布(東京)、栄光学園(神奈川)などの私立中高一貫校も上位に入った。