大川総裁が異例の決断に踏み切った裏には何があるのか。そのヒントとなるのは、2月3日に幸福の科学出版から発売された『女優・清水富美加の可能性─守護霊インタビュー─』だ。著者の大川総裁は、まえがきに「女優・清水富美加の『運命の輪』を回し、彼女に『覚悟を決めよ。』と迫る一冊の書となることだろう」と記している。
あとがきには「今年は(中略)本来の天命に目覚める年にもなるだろう」「私は道を示す者であり、天命に生きることを教えるもの」とも記されている。
1月末、大川総裁の守護霊インタビューを読んだ清水富美加は「天命に目覚めた」とされ、同28日、担当マネジャーを呼び出し、教団の弁護士同席の上で、出家し事務所を辞める意向を伝えたという。
大川総裁の言葉が絶対視される教団の教えの中で育ち、総裁に宗教活動へ寄与する「覚悟」を迫られたら、全てを投げ出して教団に帰依する以外、選択肢はなかったであろうことは想像に難くない。
清水富美加は半年間休養した後、千眼美子として活動を再開し講演会などを行うとしている。
アイドル女優を取り込んだ幸福の科学の狙いは何か。政界進出も取りざたされるが、教団は否定。
だが、昨年の参院選と都知事選に立候補し「ハグしてくれるアイドル候補者」として一躍話題となった七海ひろこ・幸福実現党財務局長は2月12日、意味深なツイートをしている。
<幸福実現党で活動しているメンバーも、清水富美加さん(これからは千眼美子さん)と同じ、もともと宗教家たち。国や人を救いたい気持ちが動機の根本です>
進路としてはほかにも、学生部員によって結成されたアイドルグループへの加入、私塾「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ」の芸能コース講師、大川総裁の長男がタレント兼社長を務める芸能プロダクションに所属させる、などと噂されている。
先述の告白本の出版は、教団の広告塔としての最初の活動だ。
今回の騒動がどう決着するにしても、将来を嘱望されていた女優・清水富美加が芸能界で大成する“可能性”が限りなく低くなってしまったことだけは確かなようだ。(鈴木エイト)
※週刊朝日 2017年3月3日号