一方の鶴丸国永は明治天皇の仙台巡幸の際に、第14代藩主伊達宗基から明治天皇に献上され、現在は天皇家が所有している。鶴丸の号の由来は不明だが、失われた太刀拵(こしらえ)に「鶴」の文様があったからとも言われている。鶴に丸の文様は日本で古くから使われてきたもので、日本航空がロゴマークに採用しているのはご存じのとおりだ。

「政宗公が身近に置いた刀剣は少なかったようです。そして刀を人前に曝(さら)したり、見せびらかすようなこともありませんでした。刀剣について伊達家ではそのように認識しており、私も同じ思いです」(同)

 政宗は刀剣について多くを語らなかったが、家系と世の安寧を守る守護神と信じていたのだろう。(ライター・植草信和、本誌 鮎川哲也)

週刊朝日  2017年2月17日号

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