「患者さんと築いた信頼関係が、こんな記事で失われるのは悲しい」と瀬戸循環器内科クリニック(福岡県)の瀬戸拓医師。

「安い薬に変えてほしいといえば変えますし、副作用が気になるなら別の薬を考えます。医学的な根拠に乏しい記事に患者さんが影響されることが、医師として悔しいです」

 院外処方の医療機関の場合、売り上げは受診者数で決まり、医師がいくら高い薬を処方しても、売り上げにはつながらないという。

「高い薬を処方したら製薬会社からのキックバックをもらえるかですか? いえいえ。少なくともわれわれのような地方の開業医にはありません」(瀬戸医師)

 日本医師会は8月3日、一連の報道を受け、「情報を鵜呑みにせず、かかりつけ医に相談するように」との見解を公表した。

 今回の取材を通し、医師からはこんな声もあった。

「勝手に薬をやめることは絶対にしないでほしい。降圧薬なら家庭血圧で、脂質異常症の治療薬なら血液データから、しっかり下がっているかを確認する。慢性病は腰をすえて長く付き合っていくことが大事です」

週刊朝日  2016年8月26日号

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