「三枝」から「文枝」になって4年。最近では大河ドラマ「真田丸」で千利休を演じ、話題になった桂文枝さん。作家・林真理子さんとの対談で、その裏側を話していただきました。
* * *
文枝:利休を演じることが決まって、千宗室さん、今のお家元のところにまず行きましてね。いろいろお話を伺いましたが、400年前に千利休が作った作法が受け継がれているわけですから、すごい世界ですね。稽古にも通いましたけど、どうせ本番では(腕を指して)こっから下は違う人やろと思ってたら、私がやるって……。
林:お茶を点てながらセリフをおっしゃるのってすごく難しそう。途中で茶筅(ちゃせん)が止まったらまずいわけですよね。
文枝:演出家は「ゆっくりしゃべってください」、お茶の先生は、「素早く点てないとだまになります」。手をシャーッと動かしながら、セリフはゆっくり言わないかん。むつかしかったですね。利休は69歳で亡くなってるんで、僕のほうが年とってるんです。なのにものすごく老けたメイクをされるんですよ。私、この誕生日で73歳ですから。
林:え!? 師匠70代ですか。お若い。信じられないです。髪も剃ってらっしゃいましたよね。
文枝:剃らないでおくいうのも大変だったので、剃りました。最近のカツラはよくできているんですが、背中のほうからベターッと貼らないかんのです。
林:同時並行で何作も撮ってる俳優さんなんかは、剃っちゃいけないみたいですね。でも、よかったですね、またふさふさと生えてきて。