娘が中高生のころは月10万円が習い事などに消え、「ボーナス払いにしないと払えませんでした」。2人とも東京都内の私立大学に通い、長女は3年生で米国に留学した。2人の大学生活の費用は2千万円超。長女が社会人になるまで貯金の余裕はなかった。
転機となったのは、次女の大学卒業。2人ともに自立した途端、美和さんは心が空虚になる「空の巣症候群」に陥った。ほどなく、遠距離介護していた母が、81歳で息を引き取る。
「教育熱心だった母のように、私も知らず知らず子どもに一生懸命だった。悔いはないけれど、これから自分の将来も考えないと、って思ったんです」と美和さん。貯金できなかった生活を見直し、6月から大学で時給千円の教員補助の仕事に就いている。その千円に、「ありがたみを感じる」という。
■家計の見直しはまずコレから、荻原さんのアドバイス
・自分の家計の不安な点を書き出してみる
・スマホのアプリ等も使い、自分に合う方法で家計簿をつける
・生命保険は生活ステージに応じて掛け金や保障内容を見直す
・住宅ローンの繰り上げ返済を考え、老後に持ち越さない
・習い事は、子ども自身が本当に楽しんでいるものに絞る
・クレジットカードはリボ払いを多用せず、節度をもって使う
・財布に安易に1万円札を入れず、本当に必要な買い物に絞る
(荻原さんへの取材や著書『隠れ貧困』から作成)
※週刊朝日 2016年7月8日号より抜粋