「僕は、根がマニアックなので、気になることは徹底的に調べます。日本について学んでみて、その禅的なものの考え方や自然や他人を敬う思想に、強く惹かれるようになりました。西洋人は、すべての感情を言葉で説明しようとするけれど、僕自身は、言葉で説明できない感情もあると思う。3年前のジャパンツアーで鹿児島を訪れて、桜島を見たときはっきりと認識しました。“僕の前世は日本人だったんだ!”って(笑)」

 ローマ法王ベネディクト16世(現在は退位)に楽曲を献呈し、母国イタリアではアルバムが音楽総合チャートの2位にランクインしたことも。クラシック形式のコンサートで、Tシャツにジーンズ姿で演奏したりと、型破りな演奏スタイルでも注目を集めるが、25年前、初めてのコンサートでのお客さんはたった5人だった。

「最初は、正直絶望しました。でも、最後まで精いっぱい演奏したら、お客さんが喜んで、僕のそばに駆け寄ってきてくれた。その5人は、今もずっと僕の音楽を愛してくれています。以来、徐々にですが、僕の音楽で救われたなんて話を聞くことが増えていって、今は、音楽をやることが自分の使命だと思っています。もうひとつ、音楽によって失われつつある想像力を取り戻せるような状況をつくっていきたい。今年のジャパンツアーのテーマは『LOVE』です。いろんな種類の愛に、それぞれの想像を巡らせてほしいですね」

週刊朝日  2016年6月17日号

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