シャアの盟友、ガルマ・ザビの軍服に身を包んだ及川光博さんが興奮気味に迫るのは、ガンダム生みの親のひとり、安彦良和さん。安彦さんが描いた「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の話をする二人はどんどん熱を帯びていって──。『週刊朝日』に掲載された特別対談の一部を公開する。
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及川:まさか安彦先生とガルマのかっこうで会えるとは、夢にも思わなかったです。僕は「機動戦士ガンダム」(ファーストガンダム)をリアルタイムのオンエアで見ていました。いわば最古のファンの一人なんですが、そういう面倒臭い人間と対談するというのは、どういうご気分ですか?
安彦:その頃に子どもだった人が、みんな立派になったり有名になられて、不思議な気がしますね。僕はあの頃からずっと同じようなことを、引きこもりで描いているわけで。
及川:2001年から「THE ORIGIN」を10年も描き続けられたわけですよね。やはり僕らは、一年戦争(注1)にまつわるエピソードが大好き。「THE ORIGIN」では、一年戦争の前の過去編が描かれていて、それがとにかく刺激的です。過去編の設定やストーリーは、いつ頃から考えられたんでしょうか。
安彦:描き進めていくうちに決まっていきました。最初のシリーズに、非常に小さなピースがいくつかあるんです。そういうピースとピースをうまく繋(つな)いでいくと、これが面白かった。自然と繋がっていくんですよ、無理に繋げようとしなくても。ガンダムの世界を創ったのは富野由悠季氏で、あの頃の彼には何かが降りてきていたといえるでしょうね。