プロゴルファーの丸山茂樹氏は、パナソニックオープンでツアー通算14勝目を挙げた池田勇太が、30歳になって下した決断について明かした。

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 いやあ、素晴らしいゴルフでしたね。池田勇太(30)がパナソニックオープン(4月21~24日、千葉CC梅郷)でツアー通算14勝目を挙げました!

 トップに2打差の3位で迎えた最終日、前半が圧巻でした。6バーディーの29。とくに2番517ヤード、8番464ヤードという難易度の高いパー4でともにバーディーをとれたのが、彼にとっての一日をきれいな純回転にしてくれた気がしますね。

 とくに2番はパー5の設定でもなかなかバーディーはとりづらいんです。そこをグリーン右ラフから、10ヤードをチップインでね。あれも少し強めに打ってるんで、運もありました。勇太に勝ち運があった気がします。

 昨年末に30歳になった勇太は、大きな決断をしたんですね。クラブの契約を一新して、トレードマークの角刈りをやめ、スリータックのパンツをやめた。いいんじゃないですか?

 すべてをチェンジして、心機一転、新しい自分をつくりあげていくってのは大事なことだと思うし、まあアパレルメーカーさんも、時代の流れに乗ってくれたほうがやりやすいってのもあるし。30歳という節目が、彼にとって素晴らしい転機だったんじゃないですかね。しかも、4月に勝ったんだから。なんと言われようが立派ですよ。

 昨年まで3シーズン選手会長をやって、何かと忙しい中でも毎年1勝はしてきましたから。しかも2009年以降、賞金ランキングは悪くても11位。よくやってますよ。これで肩の荷が下りて、「どうしても欲しい」と言ってた賞金王を目指して突き進んでくれりゃいいですよ。

 
 僕は30歳ってのが一番いい年齢だと思ってました。戻れるなら20代じゃなくて30歳に戻りたいです。とにかく、何やっても一番楽しかったですね。20代はなんとなく「まだ若いね」って言われるけど、30になったら社会的に「俺、大人になったんじゃない?」って感覚を持ちながら生きてくじゃないですか。ゴルフはもちろん、何をやっててもいい気分でできましたよね。そういう年齢なんで、エンジョイしてほしいですね。

 女子ツアーのフジサンケイレディス(4月22~24日、静岡・川奈ホテルGC富士)は大山志保(38)が6位からの逆転優勝でした。高校時代とプロになってからの計7年間を本で過ごしただけに、優勝賞金1440万円の全額を熊本地震の被災者支援のために寄付する、と。これ、本当にすごいことだと思います。

 米女子LPGAツアーでは、野村敏京(23)がスウィンギングスカートクラシック(4月21~24日、米カリフォルニア州デーリーシティーのレークマーセドGC)で今季2勝目を挙げました。これでリオデジャネイロ・オリンピックの日本代表は、ほぼ決まりでしょうね。本番で表彰台に上がるチャンスだって、十分にありますね。楽しみです!

 先日、一時帰国してた松山英樹(24)と食事をしたときに、オリンピックの日本代表ヘッドコーチとして、しっかり言っときましたよ。「こんだけ期待されてんだから、金メダルとりにいこうぜ!」って。ハハハッて笑ってましたけど、英樹は当然のようにやってくれると信じてます。

週刊朝日 2016年5月20日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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