「2011年、14歳の少女が米国で売り上げ第2位のエナジードリンクを、24時間で2本飲み死亡しました。カフェインの摂取量は480ミリグラムでした。ほかにも、別の商品で過去4年間に健康被害が92件あり、死亡例が13例あります」

 少女の事例については摂取量が少ないため、現在訴訟中だ。だが、こうしたこともあり、カナダやイギリス、オーストラリアではカフェイン摂取への注意喚起を行っている。日本はどうか。食品安全委員会事務局情報・勧告広報課の植木隆課長は言う。

「本件を受け、12月21日に、フェイスブックに委員会の見解を載せました。カフェインに限らず、食品の特定の成分だけを抽出して単独で過剰摂取するのは危険です」

 カフェインは飲みものだけでなく、眠気防止の医薬品としても市販されている。錠剤の場合、1錠に100ミリグラム程度のカフェインが含まれている。愛知医科大学病院救命救急科の武山直志教授は、

「市販薬の中でも安全性が比較的高いとされる『第3類医薬品』に分類されるので、薬剤師の服薬指導などが必要なく、誰でも簡単に購入できる。安易に手に入る環境を変えるべきです」

 と販売の規制を望む。

 植田さん(前出)はカフェインの錠剤に手を出す、その背景をこうみている。

「まずエナジードリンクや栄養ドリンク剤から始まり、少し濃い眠気防止系ドリンクへ。錠剤に対しても抵抗がなくなっていく。危険性を認識しにくいんです」

 カフェインの依存性や離脱症状の影響も大きいと、栗原教授は言う。

「カフェインの過剰摂取を続けると、切れたときに頭痛や不安感、意欲の低下、疲労、倦怠感などが現れます。それが嫌でまたカフェインを摂取する。それで量が増えていくんです」

週刊朝日 2016年2月26日号より抜粋

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