AERA 2023年2月20日号より
AERA 2023年2月20日号より

■風呂とキッチンで

「家族全員で取り組めることとして、お風呂とキッチンでどう節約するかが、ポイント」

 こう言うのは、電気代やガス代の比較サイトを運営する「エネチェンジ」広報の中田都季子さん。お風呂では、すでに軽く触れたが、何度も追い焚きをするとガス代が上がる。「家族が立て続けに入る」「蓋をする」「残った湯は洗濯に使い、新たに給湯」といった方法が有効。

「追い焚きを1日1回少なくすると、資源エネルギー庁によれば年間6190円のガス代節約になるそうです」(中田さん)

 乾燥機能にも気をつけたい。洗濯物の乾燥に浴室乾燥機や洗濯乾燥機は使い勝手がいいが、電気代を考えると控えめに。

 キッチンでの節約法はこまごま挙げればいくつもあるが、特に覚えておきたいこととしては「保温は電気代がかかる」。炊飯器、電気ポット、“ほったらかし調理家電”などだ。ちなみに「ほったらかし~」は、食材と調味料を入れてスイッチを押したら自動で調理してくれる、最近人気の自動調理鍋のこと。

「調理したり湯を沸かしたりするところまではいいのですが、その後の保温は短めにするか、なしに」(中田さん)

 ガスを使う時間が短い「時短・簡単料理」は、ガス代節約になる。「ことこと煮るより、圧力鍋や保温鍋で短時間で」「余熱で火を通す」「肉などのゆで汁を利用してもう一品」「蓋や落とし蓋を利用」「たくさん作って作り置き」「煮るより蒸す、蒸すより炒める」「揚げるより焼く」を実践しよう。

「火力の調節も意識したい。早く火を通したいからと強火で調理しても、その炎が鍋底からはみ出していれば、その分無駄になります。中火で調理を。また、小さい鍋では炎が鍋の底からはみ出し熱効率が低下する。大きい鍋で調理した方がガス代節約になります」(中田さん)

「時短」「簡単」といえば、電子レンジ。「上手に活用し、ガス代を減らしましょう」と言うのは、暮らしや家事の専門家として多方面で活躍する消費生活アドバイザーの和田由貴さん。

「野菜の下茹でをガスでやっていませんか? 水を沸騰させるのに、結構ガス代がかかります。お湯を沸かす回数は少ないほどいい。下茹では電子レンジで。ジャガイモやカボチャなどは先に電子レンジで柔らかくしてから調理を。パスタも『100均』の電子レンジ調理器を使えば、湯を沸かさなくても済みます」(和田さん)

 低カロリー高たんぱくで昨今話題の「しっとり鶏胸肉」も、「フライパンで弱火で長時間加熱」より「湯につけて余熱で火を通す」、さらには「酒をふりかけレンチン」の方がガス代節約になるかもしれない。

■冷蔵庫のポイント

 みなさんは冷蔵庫内の温度をチェックしているだろうか? 家事アドバイザー・All About節約ガイドの矢野きくのさんが言う。

「24時間365日使う冷蔵庫の温度設定は大切。弱で十分なのに強にしていたら電気代がもったいない。専用の温度計が手頃な値段で売られており、的確に温度設定できます」

 冷蔵庫の消費電力を下げるには「冷蔵庫は詰め込みすぎず、冷凍庫はいっぱいに」。さらに扉を開ける時間を短くするため、見やすく取りやすい配置にする。「朝食に使うものはこのカゴ」といった風に用途に応じてひとまとめにすると便利だ。(ライター・羽根田真智)

AERA 2023年2月20日号より抜粋