AERA 2023年2月20日号より
AERA 2023年2月20日号より

 家庭での夏と冬の電気使用量の中で最も高い割合を占めるのがエアコンだ。経済産業省「2018年度電力需給対策広報調査事業」のデータでは、1世帯の1日の電力のうち、夏はエアコンなど34.2%、冬は暖房器具が32.7%。冬の暖房器具にはエアコン、電気ストーブ、電気カーペット、こたつ、その他があり、エアコンが17%とトップ。エアコンの使い方が電気代を左右することは間違いない。

■エアコンのコツ

 総合空調メーカー「ダイキン工業」広報の由井明日香さんに、冬のエアコンで電気代を抑えるコツを聞いた。

【風向きを下向きにする】

「温かい空気は上昇し、冷たい空気は下の方にたまりやすい。エアコンの風向きを下向きにして床付近に温かい空気を送ることで、結果的に部屋全体を素早く暖められます」(由井さん)

 エアコンの正面に空気清浄機やサーキュレーターを置き、空気をかき混ぜれば、より効率的に部屋全体を暖められる。

【こまめにオン・オフしない】

 エアコンは起動した後、室温を設定温度に近づけるときに多く電気を使う。部屋が暖まったからといってスイッチをオフにせず、温度調節機能に任せる。30分ほどの外出はオンのままで。

【温度と湿度を調整する】

 加湿器、加湿空気清浄機、加湿機能付きエアコンのいずれかで湿度を高めると、設定温度が低めでも体感温度が上がり暖かく感じる。

「湿度は40~60%が適切。湿度が低いとウイルスが活性化し、高いとカビの発生につながります」(由井さん)

【フィルターを掃除する】

「フィルターにほこりが堆積すると室内機が吸い込む空気の量が少なくなり、多くの電力を使う原因になります。当社の実験では、3年分のほこりがたまったフィルターを掃除すると消費電力の無駄を48.9%削減でき、電気代にして1カ月800円ほど減らせました」(由井さん)

 目安は2週間に1回。フィルターを取り出し掃除機でほこりを吸い取る。台所近くのエアコンは、油分がフィルターにこびりつきほこりが取りにくいこともある。ぬるま湯に中性洗剤を溶かし、古い歯ブラシなどで優しく洗うといい。

【室外機の周りに物を置かない】

 室外機は、暖房時は室内に熱を送り込み、冷房時は室内の熱を屋外に逃がす働きを担う。室外機の周囲に物を置いていると、この働きがうまくできなくなり、消費電力が増える。

【窓に断熱カーテンなど】

「断熱性に優れたカーテンやシートは、窓から温かい空気が逃げたり冷気が入ったりするのを防いでくれます。日中、日当たりのいい時は、カーテンを開けて熱を部屋に取り入れてください」(由井さん)

 筆者が昨年末、実家に帰ったところ、窓にプチプチシート(気泡緩衝材)がカーテンのように吊り下げられていた。老親曰く「夜、シートを閉めておくと部屋が暖かい」。

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