プロゴルファーのジェイソン・ダフナー(米)が米ツアーで3年ぶりの優勝を果たした。「俺は早めに引退するよ」という口癖のダフナーだが、再起の可能性を丸山茂樹氏は指摘する。

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 米PGAツアーはアメリカ本土に舞台を移しました。本土での今年初戦となった「キャリアビルダー・チャレンジ」(1月21~24日、米カリフォルニア州ラキンタのPGAウェスト・スタジアムコースなど)は、38歳のジェイソン・ダフナーが3年ぶりの米ツアー優勝を果たしました。

 彼は今田竜二(39)とすごく仲がよくて、僕も米ツアーに参戦していた最後の数年はしょっちゅう一緒に練習ラウンドを回ってました。かなりやせましたね、ダフナー。竜二によると2013年に全米プロ選手権に勝って以降、「メジャーチャンピオンがぽっこりした腹じゃかっこ悪い」ってことで、容姿から入ってダイエット&トレーニングしたらしいです。やせた理由はそれだけらしい(笑)。

 最終日に使ったスタジアムコースの17番(165ヤード、パー3)でのリカバリーがお見事。池の中の浮島グリーンはアルカトラズ(監獄島)と呼ばれ、グリーン周りにはゴツゴツとした岩が転がっています。ダフナーはグリーンを外したんですけど、球は奇跡的に岩のない砂地に止まった。20ヤードのチップショットはピンに当たり、パーセーブ。

 18番(435ヤード、パー4)を使ったプレーオフでも、最初のホールでティーショットがバンカーに。それでもレイアップして、「外せば終わり」の3メートルパーパットを沈めました。この粘りの前に、デビッド・リングマース(スウェーデン)は2ホール目に池ポチャで自滅しました。

 去年の4月にはアマンダ夫人と離婚してね。その少し前から本人は「もうダメだ」なんて言ってましたけど。社交的すぎる奥さんについていけなかったみたいで。彼はあんまりギラギラした男じゃないんです。「俺は早めに引退するよ」ってのが口癖で。ある程度お金を稼いだら、もうゴルフに未練はない、と。

 
 まあ、でも17番で球が池に落ちなかったところなんかを見ると、まだ勝つ運気が残ってたってことでしょうね。ゴルフの神様が「あきらめなきゃ勝てるぞ」と。そしてチャンスをしっかりモノにした。ダフナーは再びここから浮上していくかもしれませんね。仲間として楽しみにしてます。

 アラブ首長国連邦での欧州ツアー「アブダビHSBC選手権」(1月21~24日)では、史上初の試みがありました。練習ラウンドとプロアマ戦でショートパンツの着用が許されたんです。素晴らしいことだと思いますよ。夏場はほんとにつらいですもん。試合当日に短パンでやらせてとは言いませんけど、練習ラウンドぐらいはね。選手たちも大喜びだったみたいです。これはどんどん広がっていってほしいですね。

 さてお知らせです。「第11回丸山茂樹ジュニアファンデーションゴルフ大会」の参加者募集が始まりました。3月28日(月)に開かれます。4月からの新学年で小学5年から高校3年生のみなさん、ぜひマルジュニアのホームページ(https://www.maru-junior.com/)をご覧になって、申し込んでください。締め切りは2月28日です。

 今回から、舞台が千葉市の平川カントリークラブに移ります。東京駅から1時間程度ですので、関東以外からも参加してくださる方が増えたらな、と期待しています!

週刊朝日 2016年2月12日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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