今や日本のお家芸ともなったフィギュアスケート。ソチ五輪前、最後の世界選手権(カナダ・3月16日まで)が始まった。五輪直前、女子でメダルが期待される浅田真央の前に立ちふさがるのは、やはりキム・ヨナだ。
昨年12月、2年間試合から姿を消していたヨナが復帰した。それも、今シーズンの世界最高得点(2カ月後に浅田真央が更新)で。ヨナは「ソチ五輪のメダルは考えていない」とコメントしたそうだが、本心とは思えない。ソチまであと1年のこの時期に復帰することが、五輪連覇に最適と、冷静に判断したに違いないからだ。ヨナには、自分と対戦相手に対する客観的な目がある。バンクーバー五輪のショートプログラムで浅田の演技直後に、自信満々の笑みを浮かべていたヨナと、何も変わっていない。
対する浅田は、銀メダルを手に涙をためていた頃とは違う。得意のジャンプが飛べなくなった。母の急逝という悲しい出来事もあった。でもひたすら練習しつづけた。その甲斐あってジャンプは全盛期に戻りつつある。表現力も深みが増した。ソチでも、再びこの二人の一騎打ちになる可能性が高い。今度こそ、真央ちゃんには、金メダルを手に泣いてほしい。
※週刊朝日 2013年3月22日号