動物写真家の岩合光昭さんの世界の猫を訪ねる旅をお送りする。今回は、イタリア・ベネチアの猫。
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水の都ベネチア。撮影中、どこからか強い視線を感じ、あたりを見回すと、ずいぶん遠くのキオスクに一匹のキジトラ柄の猫がいた。
ベネチアでは、この柄を持つ猫を多く見かけた。不思議に思い街の人に聞いてみると、中世にペストが大流行した時、ペストを媒介するネズミを退治するため、シリアからキジトラ柄の猫が多く連れてこられたことがその所以(ゆえん)という。
時が流れても「シリアーノ」と呼ばれるその猫たちの末裔は、人々の感謝と愛に守られている。
岩合光昭(いわごう・みつあき)
1950年生まれ。動物写真家。NHK BSプレミアムにて「岩合光昭の世界ネコ歩き」放送中。
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※週刊朝日 2015年11月6日号