「若い時の怒りが消えないんですよ。ほんと女だからって嫌な思いをさせられてきたので」
大学を卒業しても就職先はほとんどなく、作家になってからも車を買いに行くと「ホイールって知ってますか」などと言われてまともに応対されない。若い人にはそんな思いをしてほしくないと言うが、状況は今もさほど変わっていない。
格差と貧困もくり返し書いてきたテーマだ。水矢子は大学をやめて非正規雇用の仕事を転々とし、貧困に陥っていく。
「格差がここまで広がるとは思いませんでした。貧しいとなかなか自由になれない。水矢子みたいな人が幸せになれない社会はどうなのか。格差と貧困を生む経済システムを作っていることがおかしいんです」
題名の真珠とダイヤモンドは佳那と水矢子のこと。その輝きの行方を追いかけたい。(仲宇佐ゆり)
※週刊朝日 2023年2月24日号