やり方は簡単だ。人さし指を立てて指の腹を自分に向け、そのまま顔に近づける。裸眼で、目を細めずに見たとき、指紋まではっきり見える位置が眼前11センチであればマイナス8D。それより近づけないと見えないのが強度近視といえる。
実は、強度近視には定まった診断基準がない。マイナス8Dは最も簡単にわかる目安であり、眼科ではほかの検査も行い診断する。
その一つが眼軸長[(がんじくちょう)=眼球の前後方向の長さ]の測定だ。成人の眼球は直径24ミリ弱の球形だが、強度近視の目は眼軸が伸びてラグビーボール状になっていることが多い。強度近視とされるのは、一般に27ミリ以上で、長い場合は40ミリの人もいる。
眼軸が長い状態で何年も経つうちに、眼球の後部がぽこっと飛び出す「後部ぶどう腫」を生じることがある。こうなると「病的近視」と呼ばれる。突出するのは、ものを見るときに非常に重要な「黄斑(おうはん)」という部分なので、視力低下が著しい。
「強度近視による合併症はいくつもありますが、比較的多いのは、近視性牽引黄斑(けんいんおうはん)症、視神経障害、黄斑部出血の三つです。いずれも失明にいたる危険があります」(大野医師)
このうち、「近視性牽引黄斑症」とは、眼軸が伸びる際に網膜が引っ張られて起こる症状の総称だ。網膜は10層構造になっており、網膜の層が分かれてしまうのが「網膜分離」。進行すると網膜がはがれる「網膜剥離(はくり)」や、網膜に孔(あな)が開く「黄斑円孔(えんこう)」を引き起こす。
※週刊朝日 2015年4月3日号より抜粋