2015年のセンター試験が17日から始まる。そこで、入試直前の食事に本番を勝ち抜く“東洋の知恵”をご紹介しよう。
『天才児を育てる「食事」』などの著書がある管理栄養士の松村百合子さんは、
「食べたら急に頭がよくなる食材はありませんが、受験直前期にとりたい食材はある」
という。松村さんのおすすめは、それらを使った消化のいいおかゆ「及第がゆ」を作ることだ。
約300年前、中国の清の時代に、官僚登用試験「科挙」に臨む子どもに母親が作ったという歴史ある料理で、“及第”というネーミングも魅力的だ。受験生のお子さんやお孫さんに作ってみてはいかがだろう。
●作り方(4人分)
【1】豚赤身ひき肉(150グラム)にショウガとネギのみじん切り(いずれも適量)、かたくり粉(少量)を入れ、団子に丸めてゆでる。
【2】水につけて血抜きした豚レバー(120グラム)をそぎ切りにする。
【3】エビ(4尾)、イカ(2分の1杯)は下ごしらえして酒をふりかけておく。
【4】米(1カップ)は水につけてスープを加え、煮立ったら茯苓(10グラム)を加えて煮る。
【5】【4】に【1】~【3】とクルミやブロッコリーを適量加えて煮る。
【6】水戻し不要の乾燥湯葉(適量)を、火を止める前に鍋に入れる。
ビタミンB群は「頭脳のビタミン」と呼ばれる。特に重要なのがビタミンB1で、脳のエネルギー源であるブドウ糖を完全燃焼させるのに必要で、精神を安定させる働きもある。
このビタミンを多く含むのが豚肉。及第がゆでは、消化がいいように肉団子にするのが特徴だ。
豚レバーは疲労回復や貧血防止にいい。湯葉に含まれる大豆レシチンは記憶力向上につながる。
ビタミンB1やミネラル類、良質の油を含むナッツ類もいいが、そのなかでもクルミは、脳の形に似ていることから薬膳の「健脳食」として重宝されている。
緑黄色野菜のブロッコリーは、ビタミンAとCが豊富で、風邪予防に役立つ。
イカとエビは、栄養ドリンクの主成分としても知られ、脳にいいタウリンを多く含んでいる。
薬膳料理に欠かせない茯苓はサルノコシカケ科の菌類で、強壮・健脳・鎮静作用がある。漢方食材を扱う店などで入手できたら入れたい。
材料が多いが、豚肉団子以外は他の食材で代用したり、省いたりしてもかまわない。大豆製品の湯葉は油揚げや豆腐でもいい。クルミは落花生でも代用可だ。
松村さんは、「及第がゆのような栄養バランスがいい食事を三食、決まった時間帯に食べることが大切」と話す。
「同じ時間帯に食べると、消化吸収がいいからです。特に朝ごはんは必ず食べてください。朝食をとる生徒のほうが、とらない生徒より成績がいいという調査結果もあります」
朝食も食べすぎは禁物だ。
「食べすぎると血液が胃に集中し、かえって脳の働きが悪くなるからです」
試験当日は朝もお弁当も腹八分で臨みたい。
(庄村敦子)
※週刊朝日 2015年1月23日号
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