始めてしまえば効果が見えて、どんどん楽しくなってくる大掃除。だが、そこに“掃除のパラドックス”がある。汚れを取れば取るほど、汚れが見えてきてしまうのだ。一度“お掃除眼鏡”をかけてしまうと、止まらない。“きれいにする”が、いつのまにか“磨き上げる”に変わり、揚げ句の果てに疲労困憊(こんぱい)して、途中で挫折……なんてことも。
家事・収納アドバイザーの本多弘美さんは、大掃除三つの心得として以下を挙げる。
(1)すべての汚れを落とそうとしない。
(2)15分でワンブロックの掃除を打ち切る。
(3)道具を工夫する。
「まず大掃除の目的を決めましょう。換気扇、ガス台、窓など、汚れの目立つところをきれいにしたいのか、それとも押し入れの中や冷蔵庫など、目につきにくく、普段やらないところを攻めるのか。毎年交互にしてもいいと思います」
掃除項目をリストアップしたら、浸け置きと拭き掃除を同時進行で進めるよう時間割を組み立てる。
そのときに大事なのが、15分をワンブロックとし、時間がきたら途中でも次へ移ること。そうすれば志半ばで挫折することもない。
15分以上かかる汚れの場合は、15分×2セットと考え、浸け置きをする。
蛇口などにこびりついた水あかは、クエン酸などの洗剤を吹きかけ、ラップやビニール袋を巻き付け、15分間「湿布」をするとピカピカになる。
15分で1カ所をきれいにするには、道具の工夫も必要だ。
「洗剤は2度拭きのいらないものを選び、雑巾は10枚ほど用意します。1回ごとに洗うのは時間の無駄。あとでまとめて洗います。ぼろ布なども使いやすい大きさに切ってストックしておけば、使い捨てできて時短になります」
凹凸のある木目の床や壁にはブラシ類もいい。洗剤をつけてブラッシングするだけで、劇的に効果が表れる。雑巾で一生懸命ゴシゴシこするより、短時間で汚れが取れる。
ちなみに「本多さんはいつ大掃除をやるんですか?」と聞くと、
「実は、大掃除しないんです(笑)」
なんと“大掃除しない派”だった!
自分の中に「ここまでの汚れならOK」というボーダーがあり、それを基準に日々掃除をしているとか。
「汚れのプロセスを知っているから、これくらいは大丈夫、ここまでいくと大変、というのがわかるんです」
わからない素人は、やはり一年に一度くらいはリセットしておいたほうが無難? さあ、そろそろ重い腰をあげますか。
※週刊朝日 2014年12月26日号