薄毛に悩むのは男性ばかりではない。女性の場合、頭部全体が薄毛になるケースが多く、原因はまだ特定されていない。女性の体内にも男性ホルモンは存在するが、薄毛の原因にはならないと考えられ、フィナステリドは効果がないとされている。また、胎児に奇形があらわれるなどの副作用があるため、閉経前の女性には用いられない。
「現時点では女性に有効な治療はミノキシジルの外用薬のみです」(東京メモリアルクリニック・平山の院長、佐藤明男医師)
ミノキシジルもガイドラインで推奨されている薬だ。細胞成長因子の分泌や血流を促進する働きがあり、毛根の活動を活発にすると考えられていて、男女ともに効果が期待できる。使い方は1日1回、洗髪後に約1㏄、専用のスポイトで頭皮に垂らす。
東京都在住の河江春子さん(仮名・80歳)は40年来、薄毛に悩んできた。佐藤医師のクリニックを受診し、ミノキシジルを処方してもらい、もっとも気になる前髪の部分に使い続けた。半年後の診察では、かなりの効果が認められた。
ミノキシジルは、男女によって薬の濃度が違い、男性用は5%溶液、女性用は2%溶液。処方薬はロゲイン、市販薬はリアップの名前で知られている。半年程度で効果があらわれるが、効果が持続しないケースもある。男性ではフィナステリドと併用する人も多い。
「最近の研究で、女性にもAGAのような仕組みで起こる薄毛があるのではないかといわれるようになってきました。そうなると、閉経後の女性に限って、フィナステリドが適用できるかもしれません。現在、研究を進めています」(同)
※週刊朝日 2014年10月24日号より抜粋