「監督問題に火がついてしまいましたね。誰が来季の阪神の監督をやるのか、わからなくなってしまった」
9月11日に本拠地・甲子園で6連敗を喫した阪神。しかも宿敵・巨人に15年ぶりの甲子園での3連敗だ。今季最後の伝統の一戦での不名誉な体たらくに、在阪のベテラン記者から冒頭のような嘆きが聞こえてきた。
阪神の監督については8月下旬、和田豊監督“続投”と報じられたはずだが、「『よほどのことがない限り』というただし書きがありましたから」と前出記者が解説する。
「あの時点での阪神は巨人と優勝争い中。“よほどのこと”とは、Bクラスに転落しCS(クライマックスシリーズ)出場を逃す事態だったはず。しかしその後、広島に抜かれ3位転落。情けない戦いぶりで印象も悪くなった。CSを甲子園でやって来季に期待が持てる終わり方をしない限りファンは黙っていないでしょうし、そんな世論を気にする球団も和田続投で押し切れなくなった」(同前)
近年の阪神は秋口に失速する戦いを繰り返し、勝負弱い印象を拭えない。首位の巨人を一度も抜くことができぬまま夏休みの終わりが近づいた頃、唐突に和田続投が報じられ、不思議に思って取材すると、こんな事情を耳にした。
そもそも球団幹部は、今年のゴールデンウイークの頃には「掛布だ」と口にしていたというのだ。
「その時点では、今季で契約満了の和田監督の次は掛布(雅之氏)、というシナリオ。そのために掛布を『GM付育成&打撃コーディネーター』として昨秋、25年ぶりに復帰させた。それが8月に入ると、球団内から和田続投という情報が漏れてきた。当時チームは2位で、首位争いをしている監督を『代える理由がない』という理屈でした」(スポーツ紙デスク)
采配実績のない掛布氏を新監督として担ぐリスクを冒すだけの理由がない、という意味もあったらしい。
それが、負けが込んで状況が変わってきた。象徴的だったのは9日の甲子園での巨人3連戦の初戦。スタンドが満員にならなかった寂しい伝統の一戦は、序盤の大量失点で、なす術なく敗れた。スタンドには監督交代やフロント解雇を求めるプラカードが溢れ、観戦に訪れた坂井信也オーナーが帰り際にファンから「お前がいる限り勝てへん!」と罵声を浴びせられたのだ。
「真弓明信前監督の最後と似ています。やはり成績不振だったが、球団は『ボロ負けはしていない』と続投の方針を打ち出していた。それが、負けが込んでファンからオーナーに暴言が浴びせられると、一転して監督交代に。オーナーがキレた、と言われていました」(同前)
交代となれば掛布氏を軸に、岡田彰布氏、金本知憲氏、矢野燿大氏、平田勝男氏らも候補とか。さてどうなることか。
(本誌・上田耕司、小泉耕平、福田雄一、牧野めぐみ、山内リカ/今西憲之、黒田 朔、三杉 武、横田 一)
※週刊朝日 2014年9月26日号