W杯に出場するのは32の国と地域、優勝国はどこなのか――。その勝負の行方を、スポーツとは縁のなさそうな意外な企業が予想している。米国ニューヨークに本社を構える世界最大級の金融機関、ゴールドマン・サックス(GS)だ。
GSは5月27日、「The World Cup and Economics 2014」と題するリポートを世界的に発表。各チームの勝敗確率をはじめ、プレースタイル、世界ランキング、各国の経済状況などを詳細に掲載している。全60ページのボリュームという気合の入れようだ。
しかし一体なぜ、GSがW杯の予想をするのか?
経済アナリストの新(しん)光一郎氏が解説する。
「証券会社は、顧客の売買手数料が収益のメーン。売買してくれる顧客を増やすためにも、少しでも注目を集めるリポートを書くことが重要になるのです」
GSは1998年のフランスW杯から予想リポートを作成、今回で5回目となる。その分析は、世界のエリートが集まる企業ならではの注目すべき内容になっている。
60年からの国際公式戦、1万4千試合のデータを使用し、ゴール数や自国開催といった要素などを分析。1次リーグから決勝戦に至るまで、すべての勝敗確率をはじき出している。
「モンテカルロ法(乱数を使用した予測)で対戦結果をシミュレーションし、各ステージの到達率を予測しているようです。ちょっと難しい理論ですが」(新氏)
で、気になる優勝国予想は、48.5%の確率で開催国のブラジル。2位のアルゼンチン14.1%、3位のドイツ11.4%を大きく上回った。
「とはいえ、完全な信頼度があるわけではありません。前回の南アフリカ大会ではブラジルが26.6%の確率で優勝すると予想していましたが、結果は準々決勝で敗退でした」(金融ライターの横山薫氏)
では、日本代表の行方は!?
予想では、なんと1次リーグ敗退の可能性が高いというのだ! 同じブロックの予選突破確率をみると、1位ギリシャ60.6%、2位コロンビア59.7%、3位コートジボワール45.9%で、日本は最下位の33.8%。日本が目標としているベスト8入りとなると、9.9%、優勝は0%という低確率……。
リポートには、「日本のサッカーは経済より早く成長した」と、称賛とも、皮肉ともとれない評価も。
※週刊朝日 2014年6月20日号