秋の花粉の飛散が本格的に始まったが、花粉症の初期段階であれば、鼻の粘膜の炎症も軽く、早期に治療ができるため、重症化を避けることができるという。だが肌寒くなり、周りに鼻水やくしゃみなどの症状を感じる人が増える中で風邪と花粉症を勘違いし、症状を悪化させてしまう人も多いようだ。

 それでは、風邪と花粉症を見分けるポイントは何なのだろうか。日本医科大学の大久保公裕教授が説明する。

「秋の花粉症の場合は風邪とは違って、粘り気のある黄色や緑の鼻水ではなく、無色のサラサラとした水っぽい鼻水が出ます。それに高熱は出ません。また、少しでも目のかゆみを感じる場合は、花粉症を疑ったほうがいいでしょうね」

 花粉症は屋外で発症すると思われがちだが、家の中にもその要因が潜んでいる。空調設備メーカー・ダイキン工業の担当者が、こう説明する。

「秋は花粉症やアレルギーなどの症状の原因となるハウスダストが急増する時期です。ハウスダストは室内に浮遊する微粒子で大半はダニのフンや死骸です。気温が下がって夏に繁殖したダニの死骸やフンが増え、室内に最も蔓延する季節が秋なのです」

 ハウスダストが増加することで、花粉症の症状が悪化し、今後発症するリスクも高くなるという。

 花粉症は一度発症すると、毎年花粉が飛散する時期に同じ苦しみがやってくる。今年は飛散期間の長期化もあり、まだ発症していない人でも今後、秋の花粉症になる可能性がある。

 いくら気をつけていても花粉症になってしまうこともあるだろう。万が一、発症した場合はどうすればいいのだろうか。大久保教授はこう指摘する。

「秋の花粉症も、治療法については春と同じです。眠気の副作用の少ない抗ヒスタミン薬などの服用が有効でしょう」

 人口の6人に1人が発症し、今や日本の国民病とまで言われている花粉症。春だけでも十分苦痛なのに、秋まで煩わされたくはない。万全の対策で秋を乗り切りたい。

週刊朝日 2013年11月8日号