20代、30代で発症することが少なくない子宮頸がん。妊娠時の子宮がん検診を機に病気が発覚することもあり、深刻な選択を迫られるケースもある。
実際、子宮頸がんになったら出産をあきらめなければならないのだろうか。東北大学病院婦人科特命教授・科長の新倉仁医師は、「進行期と悪性度などによって、選択肢は異なる」と話す。
「がんが表面の上皮内にとどまっている場合(扁平上皮がん、上皮内がん)は、がんがある部分だけを円錐(えんすい)状に切除する円錐切除術が可能で、子宮を残せます。ただし、切除部分を病理検査して、がんが取り切れている場合に限られます」
しかし、それより少し進んだがんや、早期で見つけにくい上皮内腺がんでも、強く妊娠、出産を希望する人には、がんを取り残す危険性を話し、十分なインフォームド・コンセントをした上で、円錐切除術をすることもある。
また、がんが進行している「浸潤(しんじゅん)がん」(IB1期以上)でも、子宮を残すことを強く希望する場合には、広汎(こうはん)子宮頸部摘出術(子宮頸部を広く切除し、子宮体部と膣をつなぎ合わせて再建する手術)という、子宮を残せる手術を実施することがあるという。
「円錐切除術は、一般的な病院でも実施されていますが、早産や流産の確率が高まるという指摘もあります。一方、広汎子宮頸部摘出術は試験的な治療で、実施している施設は多くありません。子宮の入り口にあたる頸管が狭くなったり、子宮内膜が損傷したりするので、妊娠しにくい、早流産の可能性が高いなど、さまざまな問題もあります。手術は、その後の妊娠や出産のフォローまでしてくれる、態勢の整った病院で受けてください」(新倉医師)
※週刊朝日 2013年9月20日号