「政治家は選挙に落ちればただの人」。大野伴睦元自民党副総裁の言葉を引くまでもなく、選挙とは、政治家にとって命がけの戦いだ。しかし、政治評論家の森田実氏は、時事通信社解説委員の田崎史郎氏との対談で、民主は“集団自決”しようとしているようだと話した。

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田崎:民主党は次の選挙で第1党になることを事実上あきらめているように思いますね。離党者を引き留めようとしないのは、どうせ負けるのだから結束できる人でまとまり、来夏の参院選で再起を期そうとしているからでしょう。解散時期を早めたのも、ここで一度、国民の「民主党への怒り」をガス抜きしておこうという狙いです。

森田:私は、民主党がいまの野田体制で「純化」していく先にあるのは、自民党との大連立、あるいは吸収合併だと思います。それは、民主党という政党の消滅を意味します。いまの野田純化路線は“集団自決”のような行為です。

田崎:今回の選挙では、党首の顔くらいしか政党間の違いがなくて、有権者は投票先を選びにくい。その意味では、野田佳彦首相(55)が11月14日の党首討論で自民党の安倍晋三総裁(58)に“完勝”したインパクトは大きかった。野田首相、ひいては民主党に対する国民の評価に、変化が起きているようです。ある民主党議員は「民主党への逆風は、少し前までは“とんでもない暴風雨”だったが、いまは“普通の暴風雨”くらいになっている」と言っていました。暴風雨であることには違いありませんが。

週刊朝日 2012年12月7日号