日本におけるジェンダー格差は圧倒的な後進国と言わざるを得ませんが、ピルについてはどうなのでしょうか。国連の発行している「避妊法2019(Contraceptive Use by Method 2019)」のデータ によると、日本のピル内服率は2.9%でした。
東アジアにおけるピル内服率は、中国2.4%、香港6.2%、韓国3.3%であり、中国や韓国と同じくらいの内服率ですが、東南アジアの国々はどうかというと、ミャンマー8.4%、ベトナム10.5%、タイ19.6%、マレーシア8.8%、カンボジア13.7%であり、日本よりもピル内服率は高いことがわかります。
一方、欧米におけるピルの内服率は、ノルウェー25.6%、英国26.1%、フランス33.1%、カナダ28.5%、米国13.7%でした。欧米や東南アジアの諸国よりも日本のピル内服率は低く、まだまだ低用量ピル後進国と言わざるを得ないのが現状です。
なぜ、日本はピル後進国なのでしょうか。それは、ピルを入手するためには処方箋が必要だからです。つまり、病院を定期的に受診しないと内服を継続することができないのです。外来診療をしていると、病院に継続的に受診できず、内服できなくなり、避妊に失敗し、結果として緊急避妊薬を内服しないといけなくなって受診した方をよく見かけます。
ただ、世界を見渡してみると、日本と同様に処方箋が必要な国がある一方で、薬局でピルを購入することができる国もあります。
それを知ったのは、昨年の秋にミャンマーのヤンゴンに学会で訪問した時でした。たまたま立ち寄ったスーパーの中にある薬局に、なんと低用量ピルと緊急避妊薬が陳列してあるではありませんか。しかもとっても安いのです。日本だと2500円から3000円もする低用量ピルが、ミャンマーだと高くても500円ほどで購入でき、日本だと10000円前後くらいの値段で処方されている緊急避妊薬が、なんと100円もしない。もちろん物価の差はありますが、それでも安価であることに衝撃を受けました。