カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在は全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ(撮影/今村拓馬)
カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在は全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ(撮影/今村拓馬)
この記事の写真をすべて見る
※写真はイメージです(Getty Images)
※写真はイメージです(Getty Images)

 人気番組「さんまのお笑い向上委員会 」(フジテレビ系列)で、ライブに「オッサンしか来ない」と、女性人気の無さを嘆いたお笑いコンビ・バイきんぐの小峠英二さん。一方で「オッサンは裏切らない」とも力説した。そこで“ライブにオッサンを集める芸人”として話題に上がったカンニング竹山さんも、その説に共感するという。

*  *  *

 僕の単独ライブ「放送禁止」もオジサンばかりですよ(笑)。それって一見マイナスっぽいですが、実はありがたいことなんですよね。

 例えば、なぜ落語が長年根強い人気を得ているのかを考えると、作品として論理的にきちんと構成され完成されていて、どの世代でもちゃんと聞けば面白いと思える文化だからなんですよね。そういうものは人間が年を取っても、廃れない。芸能というのは、実は全部そういうものだと思います。

 年を取るとは、つまり人生経験を重ねること。物事の裏やいろんな人の癖がわかるようになったり、こういうパターンはこうなると物事の結論も見えるようになる。だからこそ、より完成度の高いもの、自分の心をわしづかみにするものを求めるんですよね。僕らはそれを「心臓をえぐる」ものと呼んでいます。

 大人になってくると、なかなか人に心を動かされなくなるのは、死を体験するから。祖父母や親、身近な人の死によって悲しみや辛さを経験して、それによって家の経済事情が変わることもある。逆に、結婚や出産によって家族や我が子ができたりして、喜びや大変さを味わう人もいるし、そこで命を考える。だから余暇や好みも変わってくるわけです。

 僕のライブに来てくれるオジサンたちは僕にとってものすごくありがたい存在。なぜかというと、僕の見た目で付いたファンではなく、放送禁止という舞台のファンだから。ライブを信頼してくれて、見ると何か得られるぞとか、心が動くぞと思ってくれているわけです。しかも、このオジサンたち、普段は立川志の輔師匠や志らく師匠、談春師匠、笑福亭鶴瓶師匠たちの舞台を見に行っているような人たちですからね。それって、すごいことじゃないですか。同じ落語でも新人の噺家ではなく志の輔師匠を見たいと思われるのは、人間味や見た目も含めた芸が、お客さんの心をえぐり動かすからです。それが芸能としては一番良いパターンで、だんだん完成に向かっていく芸ということなんだと思います。

次のページ
中居くんも「あの子たち、どこ行きました?」