昨年、監督通算1000勝を達成した原辰徳監督も、多くのベテランを復活させている。一人目が大道典嘉。事実上の戦力外で2007年に巨人に無償トレードされると、原第二次政権下で代打の切り札として活躍。リーグ3連覇の中で確かな存在感を発揮して人気者にもなった。さらに同時期には、広島の二軍でくすぶっていた木村拓也をトレードで獲得。木村は類まれな万能ぶりを発揮しながら、チームの穴埋め、戦力として能力を存分に発揮した。4年ぶりの監督復帰でリーグ優勝に導いた昨季も、前年2試合登板のみで“崖っぷち”だった大竹寛を中継ぎとして“再生”させて、32試合で防御率2.77という好成績を残させた。

 そして、やはりヤクルトである。野村監督の流れを汲むという意味で、真中満監督も、選手を“再生”させる術を持っていた。就任1年目の2015年にリーグ優勝を果たした後の2年間は下位に低迷したが、16年にはオリックスを退団した坂口智隆を獲得して主力としてレギュラー起用。さらに同じオリックスで活躍の場を得られていなかった近藤一樹をトレードで獲得すると、中継ぎで起用して眠っていた力を引き出した。また、日本ハムを戦力外となった鵜久森淳志を代打として重用し、自己最多の4本塁打&19打点という成績を残させたのも真中監督だった。その前後に監督を務め、真中時代にはシニアディレクターだった小川淳司氏も含めて、ヤクルトには今も再生工場が絶賛稼働中。今後も、ベテランたちの“第二の春”到来を楽しみに待ちたい。