■セカンドオピニオンとるべきケース
「肝胆膵がんは悪性度の高いものが多く、いくつもの病院をまわるうちに進行し、治療のチャンスが失われてしまう可能性もあります」と進藤医師は言う。
「それでも、治療法には多くの選択肢があるので他院の意見を聞く意味はあるでしょう。『手術はできない』『開腹手術のみ』など治療法が限定されてしまい、納得できない場合には、肝臓がんの治療をバランスよくやっている病院でセカンドオピニオンを受けるといいでしょう」
膵臓がんも治療の選択肢が増えている。「術前や術後の化学療法など、治療の選択肢を提案されない場合はセカンドオピニオンを受けるべき」と里井医師は言う。とくに術前化学療法はここ1年程度の治療法の変化なので、「手術できない」と言われた場合も他院の意見を聞きたい。
「当院では膵臓がんの腹膜転移に注目し、本来胃がんに使う薬を使った臨床試験をおこなって生存期間の延長に成功しています。病院ごとに臨床試験をしていますから、病状に合う病院を紹介してもらいましょう」
≪セカンドオピニオンをとるべきケース≫
ケース<肝臓がん>
手術のみ、抗がん剤のみなど治療法が限定された場合
ほかにもアブレーション治療や化学療法を併用した手術など、肝臓がん治療は多岐にわたる。選択肢がほかにないか確認したい。
ケース<膵臓がん>
術前・術後の化学療法が提案されなかった場合
2019年の「膵癌診療ガイドライン」で術後に加えて術前化学療法も提唱されている。手術のみの提案には確認が必要。
■ランキングの読み方と病院選び
肝胆膵がんの「いい病院」は、手術数の多さと相関関係があるのか。進藤医師は「一定の関係は確かにある」と言う。
「原発性肝がんの場合、肝硬変などで肝臓の状態が悪化している人が多いのです。大きく切除すれば残された肝機能が低下して生命にかかわるし、小さく切りすぎるとがんが残るリスクが高まる。人によって肝臓の状態は違うので、判断には医師の経験も必要です。手術数が多い病院は術後の管理にも慣れている場合が多いですね」