週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では各病院の手術数ランキングを掲載している。病院ごとの全体の合計数だけでなく、医師一人当たりの手術数も意識すべきだと進藤医師は言う。
「合計手術数を何人の医師が執刀しているかで割ると、個人の執刀数がだいたいわかります。医師の数はホームページなどでも確認できるでしょう」
肝がんの手術数について、『手術数でわかるいい病院2020』では原発性と転移性の両方の数を調査している。
「原発性肝がんはウイルス性肝炎から発症する場合が多いので、原発性の手術の多い病院は、肝臓内科の患者数も多い傾向があります。肝臓がんは再発率が高く、5年以内に70~80%とも言われます。定期的な検査が欠かせないので、肝臓内科に力があるところは安心です。転移性はがん専門病院など、原発巣のがんにも実績のある病院を選びましょう」
「胆道がん、膵臓がんは、総合ランキングではなく、それぞれのランキングを見てください」と話すのは里井医師だ。肝臓がんは患者数が多いので、三つを合わせてしまうと肝臓がんを多く治療している施設が上位にきてしまうからだ。
「胆道がんの場合、肝門部・上部胆管がんや胆のうがんを除くと、膵臓がんと手術方法はほぼ同じです。胆道がん、膵臓がんは手術数そのものが少ないので、二つを合計した数の多い病院を選ぶという方法もあると思います」
手術数だけでなく、いかに難しい手術を実施しているかも確認したいところだ。その目安になるのが、日本肝胆膵外科学会が指定している「修練施設」になっているかどうかだ。
同学会の高度技能指導医または高度技能認定医が一人以上常勤し、難度の高い手術(肝胆膵高難度外科手術)を、5年間の平均で年間50例以上こなす施設が修練施設A、30例以上実施している施設が修練施設Bと認定されている。病院名などは同学会のホームページで確認することができる。
「修練施設は、難度の高い手術を多く経験し、安全性のチェックが入っている病院です。病院選びの目安になるでしょう」(里井医師)
(文/神 素子)
≪取材した医師≫
関西医科大学病院 胆膵外科診療科長 里井壯平 医師
虎の門病院 消化器外科 進藤潤一 医師
※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』より