「巨人に入りたいという話は聞いていました。巨人ではなく、ダイエーからの指名と聞いて落ち込んでいたなぁ。でも切り換えは早かった。『海外で野球やるのもおもしろいやん』って笑っていた印象がある。スイッチが入ったら周りは気にしない、それが良いところです」
現役引退後はバラエティー番組など広く芸能活動も開始。10年からは実業家としてラーメン店を立て続けに開業したが、どれも数年で閉店した。
「一匹狼タイプで自分自身のことを常に考えるタイプ。野球だけでなく、興味があるものにはとことんハマって楽しむ。その姿勢が周囲を明るくして人を惹きつける。だから個人仕事は右肩上がりに増えていった。でもお店の経営などに向いているとは思えなかったですね。自分が常にお店にいるわけではないから、どうしても他人事になってしまう。そうするとモチベーションもあまり上がらないんじゃないかな。その結果、任せっきりで、気づいた時には閉店していた感じでした」
現役時代からよく知る巨人担当記者は元木の性格上、マネジメントには向いていないと言う。実際、テレビ番組で「任せっきりでスープの味が変わっていた」「出店場所など自分が決めれば良かった」と本人も語っていたほどだ。
「コーチ1年目がうまくいったのは、やはり原監督の存在が大きい。経験豊富な名監督がうまく元木を操縦したということ。しかし今年から現場ではナンバー2の役割になりました。昨年以上にチーム管理も求められるし、監督と選手間の板挟みの重圧は昨年の比ではない。昨年はコーチ1年目ということで周囲も温かく見守ってくれた面もあります。本当の勝負はこれから」(前出の巨人担当記者)
ヘッドコーチは実質、第二の監督である。時には自らの判断で選手に指示をする場面も出てくる。自らのためではなく、他者のため、チームのための状況判断力が必要になってくる。