共通点は…。浅田美代子(左上)、新田恵利(右上)、指原莉乃(右下)、上原多香子 (C)朝日新聞社
共通点は…。浅田美代子(左上)、新田恵利(右上)、指原莉乃(右下)、上原多香子 (C)朝日新聞社
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 1月17日放送の「ミュージックステーション」で、森七菜がデビュー曲「カエルノウタ」を披露した。ネットでは、斉藤由貴のデビュー当時になぞらえる声も見かけたが、個人的には同じく東宝芸能の沢口靖子の歌を思い出したりもした。

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 なんにせよ「ひとりで歌うアイドル」の初々しさ、たどたどしさ、せつなさといった魅力が久々にメジャーな歌番組で味わえたのである。ソロアイドル、それもちょっと「ヘタウマ系」の歌にこそ、アイドルの真髄があると考える者として、これほどうれしいことはない。

 それゆえ、ヘタウマアイドルこそ最強ということもできるし、その伝説を振り返ることは楽しい。そこで、この文章を昨年11月に配信された「本当に歌のうまいアイドルは誰だったのか」の姉妹編、あるいは裏バージョンとして読んでいただければ幸いだ。

■「赤い風船」の浅田美代子

 まずは、73年にデビューした浅田美代子。NHKでは90年頃まで歌手にオーディションを行ない、合格しないと出演させないという基準を設けていたが、彼女はこれに4回も落ちた。一緒にオーディションを受けた石川さゆりが、彼女の歌唱力にイライラしたという話もある。

 しかし、デビュー曲はチャート1位の大ヒットを記録した。ドラマ「時間ですよ」の劇中歌でもあった「赤い風船」だ。プロデューサーの久世光彦は「現代の童謡を作りたい」と目論んだという。歌の頼りなさを逆手にとり、童謡風にしたことが図に当たったわけだ。

 久世はこの成功に味をしめ、ヘタウマアイドルを自分のドラマから次々と世に送った。そのなかには、77年デビューの岸本加世子もいる。彼女は美空ひばりに可愛がられ、その没後には「美空ひばり物語」の主役も任せられることに。ただ、当然というべきか、歌の部分は吹き替えにされてしまった。

 そんな岸本のデビュー曲「北風よ」を、83年にデビューした際、B面でカバーしたのが武田久美子だ。のちにヌード写真集でブレイクして「ミュージシャンのアルバムのように、年に1冊は出していきたい」と豪語し、それを実践したが、歌手としては2年ももたなかった。 

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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