明治大学の箸本龍雅(右) (c)朝日新聞社
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高校世代では圧倒的な身体能力を誇る大阪桐蔭の奥井章仁 (c)朝日新聞社

 昨年のラグビーワールドカップでは日本代表チームが躍進を遂げるとともに、個々の選手も海外の強豪相手に当たり負けず、日本人はフィジカル面で劣勢という固定観念を払拭する活躍をみせた。その代表格が姫野和樹(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)。今シーズンの国内大会では、姫野に続いて世界に通じるフィジカルを持った選手に成長しそうな若い有望株が何人も現れている。

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 姫野自身がこれから円熟期を迎える若手だというのに、気の早い一部メディアに「ポスト姫野」という枕詞を付けられたのが明大3年の箸本龍雅。ロックやナンバー8でプレーする21歳は、全国大学選手権終了後、スーパーラグビーのサンウルブズにトレーニングスコッド(練習生)として招集された。東福岡高校2年の時から2年連続で高校日本代表に選ばれ、3年時はキャプテンも務めた。身長188センチ、体重110キロというサイズは姫野(187センチ、108キロ)とほぼ同じ。パワフルなプレーに加えて運動量もあり、全国大学選手権では準決勝の東海大戦、決勝の早大戦でトライを奪った。

 箸本同様にサンウルブズのトレーニングスコッド入りした明大2年のFB雲山弘貴は、身長186センチ、体重88キロと身長だけなら姫野と大差ない大型バックスだ。高校日本代表経験者で、明大でも1年からフィジカルの強さを発揮して活躍。箸本とともに「外国人に負けないフィジカルを持った選手」と評されている。

 箸本や雲山らを擁した明大を下して全国大学選手権で優勝した早大からは、CTB中野将伍がサンウルブズのトレーニングスコッドに選ばれた。中野も身長186センチ、体重98キロの大型バックス。天理大との準決勝では、サンウルブズの正規メンバーに選ばれているトンガ出身のCTBシオサイア・フィフィタとのフィジカル勝負にも負けず、相手のパワーを抑え込んだ。

 スーパーラグビーは、昨年のワールドカップを制した南アフリカや2011年と15年にワールドカップを連覇したニュージーランド、過去2大会優勝のオーストラリアにアルゼンチンを加えた南半球の強豪国チームが戦うリーグ。試合の強度はトップリーグよりもはるかにテストマッチ(国代表同士の試合)に近い。箸本らには、極めて高いレベルを想定した練習に元イングランド代表もいるサンウルブズの外国選手らと共に参加することで、大学の枠を大きく超えた国際水準のフィジカルの強さを身につけることが期待される。

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