それから15年。ひょんなことからF1のコラムを書くようになり、機会があればご報告したいと思っていた矢先の出来事だった。本当に残念で仕方ない。

 今年、今宮さんが初めてF1を取材したオランダGPが35年ぶりに復活する。ザントフォールト・サーキットにホンダPU4機がエキゾーストノートを響かせる。その様子をF1レジェンドたちと見て、また彼らに取材するのだろう。穏やかで大きい、熱い瞳をもって。

 最後に。今宮純さん、本当にお疲れ様でした。F1の面白さや奥深さ、筋書きのないドラマを丁寧に紐解いて報じられたことで、日本に何十万人という数のF1ファンが生まれました。

 ドライバーがサーキットの主役ならば、メディアの主役は今宮さんだったと確信しています。

 ファンの中からF1に憧れ、ドライバーになった人やメカニックやエンジニアになった人、色んな形でF1に携わるようになった人が数多くいます。今宮さん無くして、F1ファンは生まれなかったことでしょう。私も今宮さんに導かれた一人です。SNSでも本当に多くのファンの皆さんが寂しく思っています。

 それでもF1は続いていくわけです。

 今までとは違うところから、この先のF1を見守ってほしいと願わずにいられません。重ねまして、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。(文・野村和司)