日本プロ野球(NPB)とメジャーリーグ(MLB)では、制度上の違いが多々あるのが実情。もちろん、それらは個々の事情に応じたものであることがほとんどで、どちらが正しいなどとは一概には言えないものだ。
例えば、プロ選手として基本中の基本ともいえる、契約や年俸に関する制度にもさまざまな差異がある。このオフにはある契約交渉を巡って注目を集める事例があった。中日の祖父江大輔投手と球団側の契約交渉がそれだ。
祖父江は今季、44試合に登板して3勝4敗1セーブ、3ホールド、防御率3.11という成績だったが、1回目の契約交渉では前年の推定年俸2900万円からのダウン提示を中日から受けて保留したと報じられた。これにMLBで活躍するダルビッシュ有投手(カブス)が中日の年俸提示の妥当性に疑問を呈したことで、話題性が良くも悪くも高まった。
報道によると、祖父江が過去の登板数を評価するように求めたのに対し、中日側は「評価はするが、反映ポイントにない。それ(継続的な登板数)を評価して欲しいなら、早くFAを取ってくださいというのがこちらの主張」と返したという。
ちなみに祖父江は6年間通算で263試合に投げて7勝17敗3セーブ、54ホールド、防御率3.08という成績。ダルビッシュはこの数字で年俸2900万円とした評価基準を知りたいとツイッターでつぶやいたのだ。
この騒動は、結果的には祖父江が2度目の交渉で初回と同じ提示額の推定年俸3400万円で契約したことで収束。そもそも昨季の推定年俸も2900万円ではなく3500万円前後だったようで、実質100万円のダウンというオチが付いたようだ。祖父江自身もシーズン中の二軍落ちなどの経緯から、最終的には頭を整理して納得していたという。
さて、前置きが長くなってしまったが、こうして契約交渉がもつれた場合はNPBでもMLBでも最終的に年俸調停という場が用意される。