“宿敵”韓国を2夜連続で破り日本代表の優勝で幕を閉じたプレミア12。侍ジャパンの奮闘に盛り上がりを見せたのは事実だが、一方で大会の存在意義に疑問符が付いたのも否定できない。
それは、WBCなどの国際大会でも同様の議論が度々なされるが、アメリカ代表を筆頭にメジャーリーガーを主力とする国が明らかに“本腰”を入れていない場合があるからだ。今大会も日本、韓国などは国内でプレーする選手を軸としたほぼベストの陣容で戦ったが、アメリカ代表チームはそれとは程遠いメンバー構成となっていた。
今回のアメリカ代表メンバーでメジャーリーグでの実績があるのは39歳の大ベテラン、エリック・クラッツ捕手と、メジャー69勝の左腕クレイトン・リチャード投手(ともに現在はFA)ぐらい。他にはジョー・アデル外野手(エンゼルス)や、アレク・ボーム内野手(フィリーズ)といった若手の有望株選手は数人いたが、本気とは大きくかけ離れたお粗末な顔ぶれだった。
加えて試合の日程も、真剣勝負とは思えぬずさんな組まれ方だった。例えばアメリカ代表は、11月12日(火)にナイターで侍ジャパンと対戦。そして翌日13日(水)には、正午12時開始のゲームでオーストラリア代表と対戦するタイトなスケジュールとなっていた。
ベストメンバーとは程遠いアメリカ代表のメンバーと、平日の正午時開始というファンに来場してもらう気ゼロとも思えるスケジュールも相まって、会場となった東京ドームの当日の様子は“悲惨”なものだった。
通常、東京ドームで試合が開催される際は、開場前でも球場の外は野球ファンでごった返す場合が多い。しかし、この日は開場時間の午前10時になっても、野球ファンらしい人はほぼ皆無だった。いざ球場に入っても、メジャーリーグのキャップを被った熱心なファンがちらほらいるが、約46000人収容の客席はほぼ空席といってもいい状態。目視で入場者数をカウントできる気すらするガラガラぶりだった。公式の発表によると、その試合の観客数はスーパーラウンドでは12日のオーストラリア対オランダ戦に次いで少ない2,149人だったようだ。