フィギュアスケート日本男子の次世代エース候補である高校一年生の二人、鍵山優真と佐藤駿。ライバルであり、仲の良い友人でもある鍵山と佐藤は、共にジュニアグランプリ(GP)ファイナル(12月5~8日、イタリア・トリノ)進出を決めている。その二人が、11月16~17日・新横浜で行われた全日本ジュニア選手権でもハイレベルな戦いを繰り広げた。
今季好調な鍵山は、ジュニアGPフランス大会ではジュニア世界最高得点(当時)をマークして優勝。世界のジュニア世代でトップクラスの力を持つことを証明した。技術点だけでなく、演技構成点でも高い評価を受けるのが鍵山の強みで、総合的に優れたスケーターだ。
対して、佐藤は4回転ジャンパーとして優れた能力を誇る。「4回転ジャンプの精度や確率は誰にも負けたくない」と本人も語る佐藤のジャンプ能力について、鍵山は「天才」だと語る。しかし、その一方で「表現力は負けない自信がある」というのが鍵山の自負でもある。
この全日本ジュニア・ショートでは、鍵山が首位発進。ショート3位から逆転優勝を狙う佐藤はショート終了後、フリーでは現状最高難度のジャンプ・4回転ルッツを跳ぶことを宣言した。
フリーの最終グループでの滑走順は、鍵山は4番、佐藤は最終の6番。先に登場した鍵山は、2本の4回転トウループとトリプルアクセルを加点のつく出来栄えで決めていく。映画『タッカー』の曲の軽快なリズムに乗り、質の高いスケーティングで観衆を魅了した。鍵山のコーチであり、現役時代には五輪に二回出場している父親の正和氏は、鍵山を「もともと踊ったりするのはすごく好きな子」と評している。“踊れる”スケーターである鍵山の魅力が存分に発揮され、すべての要素をミスなく完璧に決めた演技後は、スタンディングオベーションが起こった。国内大会のため非公認だが、鍵山のフリー171.09、合計251.01ともに、ジュニアの世界最高得点を超える高得点だった。