このオフ、ヤクルトが新外国人として獲得を発表したアルシデス・エスコバーも「チームのニーズにマッチした」選手と言っていい。なにしろ2015年には“世界一”になったロイヤルズの一員としてオールスター出場、ゴールドグラブ賞にも輝いた名遊撃手である。今年は西浦直亨の離脱もあってショートのレギュラーを固定できなかっただけに、高津臣吾新監督の下で投手を含めたディフェンスの強化を目指す上で、その守備力にかかる期待は大きい。

「守備の人」という印象が強いエスコバーだが、ロイヤルズで2011年から8年連続して20本以上の二塁打を放ち(うち30本以上3回)、今季はマイナーAAA級で96試合に出場して打率.286(出塁率.343)、10本塁打、28二塁打と、狭い神宮なら長打も期待できる。年齢的にもまだ32歳で、今年はメジャーに上がることのないまま8月にリリースされたことが、ヤクルトにとっては追い風となった。

 もっともヤクルトの外国人に“当たり”が多いのは、こうしたスカウティングによるものだけではなさそうだ。前出のハフは「居心地の良さ」に言及する。

「チームメイトは最高だよ。誰も彼もフレンドリーで、みんな兄弟みたいなんだ。クラブハウスでもいろんな話をしたり、みんなで食事に行くこともあるしね。本当に家族みたいな感じだし、クラブハウスの雰囲気も素晴らしい」

 さらにもう1つ、ハフが指摘するのはファンの存在だ。

「(ヤクルトは)ファンも素晴らしいよね。信じられないくらいだよ。今年は最下位だったけど、勝っている時も負けている時も、みんな最後まであきらめずに応援してくれた。僕がビックリしたのは去年、先発でなかなか勝てなかった頃のこと。負け投手になって球場から帰る時、ファンに『サンキュー』って声をかけられたんだよ。アメリカではちょっと打たれると手のひらを返すファンも多かったから、あれには驚いたし感動したね。スワローズのファンは常に僕たちをサポートしてくれているんだ」

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