いまは有吉弘行や坂上忍さんや梅沢富美男さんのように、毒タイプがやっぱり人気で、そういうタレントも増えてきました。僕なんかは箸にも棒にもかからないけど、そっちのタイプでしょう。そうやって本音を言う人が増えてくると、世間では「それはちょっときついよ」とか「そう言われると嫌な思いをする」と感じる人が出てくるわけです。
そこで需要が増えてきたのが、サンドウィッチマンと博多華丸・大吉。毒というより、ソフトな感じがする二組ですよね。そして次はエッジの効いた尖った人、「うるせーこのやろう!」タイプを求める人が出てくるんでしょう。それも「物言いが腹が立つ」とか「なんであんなに偉そうなんだよ」と言われるようになれば、万人に愛されるタイプが出てくる。これは、永遠の繰り返しなんです。
結局は、演者側である僕らも含めて、視聴者って勝手なもので、一つのものをずっと求めるということは無いんですよね。
そこに、一昔前と違う要素が出てきているのは、メディアが分散して視聴者の好みも分散しているということ。テレビだけを見なくていいし、見るものを選べるわけです。いつもバラエティー番組じゃなくて、アニメ好きはアニメチャンネル、テニス好きはテニス中継ばかりを見ることもできるようになった。どちらのタイプの芸人も需要があるんだけど、尖ったものはテレビじゃない場所で見ればいいわけです。それを考えると、ちょっと前ならサンドウィッチマンや華丸・大吉の好感度がここまで高くなることもなかったかもしれない。
タレントや芸人でもネットで大人気という人も出てきています。例えば、うちの事務所の後輩のゴー☆ジャスという芸人は、ユーチューブでゲーム動画とかをやっているらしく、僕らからすると「全然売れてないじゃねーか」という感じだけど、学園祭では大人気ですよ。その世代はテレビよりユーチューブを見ていたりするからですよね。演者にとっても、昔はなかった選択肢があったりするわけです。