【日本語訳】


 思想は自由であるとは、よく言われる表現である。人は、自分が考えていることをおもてに表さない限り、何を考えようとそれらを妨げられることは決してない。

 彼の精神の働きは、自分の経験の範囲と自分の想像力によってしか、制限されない。しかし、この、個人的思考という生得の自由には、ほとんど価値がない。もし、自分の考えを人に伝えさせてもらえなければ、それは思考者自身にとって不満足であるばかりでなく、苦痛でさえあり、彼の仲間にとっては明らかに無価値である。

 その上、精神に対していくらかでも力を持つような考えを隠しておくことは、極めて困難である。もしある人が、思考によって自分の周りの人々の行動を規制する思想や習慣に疑問を感じ、彼らが抱く信念を拒み、彼らが従う生き方よりも、よい生き方を知ったならば、その人は、自分は彼らとは異なり彼らと同じ考えをもってはいないということを、沈黙やふともらす言葉や、一般的な態度によって示さないでいることは、もし自らの考え方の正しさを確信しているとしたらほとんど不可能である。

 ある人々は、ソクラテスのように、自分の思想を隠しているよりもむしろ死に直面する方を選んだし、また今日でもそうする人がいるだろう。このように、思想の自由の中には、いささかでも価値のある意味においては、言論の自由も含まれるのである。

 現在、最も文明の進んだ国々においては、言論の自由は当然のことと考えられ、すっかり簡単なことのように思われる。われわれは、この自由に慣れ切っているので、それを生得の権利とみなしているのである。

■イラストで理解! 人体解剖英単語

 よく出る英単語と長文を頭に入れたら、最後は人体の解剖図とともに、付随する英単語を学びましょう。イラストと一緒に医学用語の英単語を頭に入れれば、覚えにくいスペルも記憶できます。本誌の付録では、「気道」「肺」「脳」「耳」「皮膚」「眼」「眼底・網膜」に関する英単語を掲載しています。

◯風呂迫元武(ふろさこ・もとむ)甲南高校、本大学卒業後、米ペンシルべニア大大学院言語学科に公費留学。県立鹿屋高校、国立鹿屋体育大学などで英語を教える。定年後は、ラ・サール高校舎監のかたわら、Z会出版や吾妻書房から参考書を出版。英和辞典執筆を一部担当し、英検準1級対象の面接委員を20年余り務める。自宅で医大受験生を教える。

※『医学部に入る2020』から抜粋

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