海外の留学生を自宅に受け入れるホストファミリー。どんな魅力があるのか。これまで実際に5人の留学生を受け入れてきた大倉恵美子さんと、運営団体に話を聞いた。発売中の「AERA English2019 Autumn & Winter」より紹介する。
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大倉家のリビングに、留学生のポール・ラクロア君(高校1年)と、次男の綾恭(りんく)君(高校1年)、三男の僚恩(りおん)君(小学3年)がそろえば、サッカーボールの投げ合いやテレビゲームが始まる。「これでどうだ!」「あ、やばい! やられた!」。ゲームに熱くなる姿は、本当の兄弟のようだ。母親の恵美子さんが食事の後片付けをしながら、そんな様子を見守る。大倉家の日常の一コマだ。
群馬県前橋市の大倉家は、これまで5人の留学生を受け入れてきた。きっかけは現在大学生の長男が、小学生の時に学校から持ち帰った、「AFS 日本協会」のパンフレットだった。
同協会は、おもに高校生の交換留学を支援する非営利団体。昨年は59カ国から577人を迎え、日本のホームステイ先を確保した。トラブルが起きたときや、病気やけがのときは、相談にも応じる。
「子どもにいろいろな国のことを知ってほしくて。留学生を自宅に招くことで、交流を図れればと思い、まずは1週間の短期留学生の受け入れから始めました」(恵美子さん)
現在受け入れているポール君は、アメリカ在住のフランス人。1年間の留学プログラムで、高崎市の高校に通う。日本に留学した理由を聞くと、流暢(りゅうちょう)な日本語でこう話した。
「家族旅行で日本を訪れたとき、とてもきれいで食べ物がおいしく、日本文化に興味を持ちました」
大倉家での暮らしは、「食事がおいしく、みんな優しくしてくれます」。冬休みには、恵美子さんの実家を訪れ、おせち料理やお雑煮など、日本のお正月を体験した。恵美子さんも、ポール君とのおしゃべりが毎日の元気のもとになっている。
「学校の様子を聞くのが楽しいですね。私の仕事で夕食が遅くなった時には、フランスはもっと遅いから気にしないで、と気遣ってくれます」