ほかには、佐々木希がデビュー前のヤンキー歴を盛んに取り沙汰されてきたが、本人にそのイメージを利用する意識がまったくなさそうに見える。こういう人がヤンキー感を出してきたら、魅力的なギャップが生まれるだけに、ちょっと惜しい感じだ。せめて、同郷で親交もある演歌界きってのヤンキー好き、藤あや子(この人も木村一八とつきあった)とのそれっぽいトークなど聞いてみたいものだ。
■ギャルよりヤンキー感で成功したユッキーナ
とはいえ、ここ30年くらいはヤンキーがウケる時代ではない。ちょっと目端が利く子なら、それよりはギャルを目指したからだ。そんななか、ギャルよりヤンキー感で成功してきたのが、ほかならぬ木下優樹菜だったのである。
工藤静香同様、家族思いで料理上手だったり、また、ちょっと頽廃的な色気やざっくばらんなしゃべり方、2女の母といった共通点もある。夫の藤本敏史もそこそこのランクの芸能人だ。おバカ系からママタレへとうまくシフトして、最近はインフルエンサー的な支持も得ていた。工藤のようなポジションを狙える位置にいたわけだ。
それだけに今回の騒動は痛手になりそうだが……。これくらいでメゲるようでは、ヤンキー系失格だろう。友人でもある先輩・鈴木紗理奈は、
「反省して、また次! みんな応援してるよーー!」
とエールを送ったし(ただし、即炎上)、あびる優だって芸能界の「クイーン・オブ・ヤンキー」和田アキ子の庇護により「アッコにおまかせ!」などでしぶとく生き延びている。
逆境に強いというか、向かい風上等と立ち向かうのがヤンキー魂だとしたら、ここからどう巻き返すのか。まさに真価が試されるところである。
●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など。