■巨人(セ・リーグ1位)


補強ポイント:菅野の後継者。外野手のレギュラー候補

 オフに丸佳浩、炭谷銀仁朗をFAで獲得し、シーズン中にも積極的に外国人を補強するなどしたことが奏功して5年ぶりのリーグ優勝を飾った。選手層の厚さは他の5球団よりも一枚上であることは間違いないが、将来は決して安泰と言える状況ではない。最大の不安要素はエース菅野智之の力に陰りが見えてきたこと。今年は山口俊が大活躍を見せ、24歳以下の若手に楽しみな存在もいるが、誰が太い柱になるかというと不透明な印象は否めない。またリリーフ陣も最後まで抑えを確立することができなかった。一方の野手では外野手の高齢化が気になるところ。今年は亀井善行が見事な活躍を見せたが来年は38歳となり、丸と陽岱鋼の二人も30歳を超えている。ルーキーの山下航汰は楽しみな存在ではあるが、近い将来総入れ替えになることを考えると、レギュラー候補になれる選手を確保しておきたいところだ。

 菅野の後継者という意味では佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)のどちらかに向かうという方針は大正解。問題は抽選を外した時の指名になる。現場からはいつの時代も即戦力を要望する声が強いが、ここは我慢してスケール、将来性重視を貫きたい。そういう意味では高校生なら西純矢(創志学園)、もしくは社会人ながらまだまだ成長途上の太田龍(JR東日本)の二人がおすすめだ。1位でスケールの大きい投手を確保できたら、2位以降では外野手のレギュラー候補を狙いたい。高校生では森敬斗(桐蔭学園)、大学生では高部瑛斗(国士舘大)、宇草孔基(法政大)がおすすめとなる。いずれもスピード、パンチ力を備えたタイプで、亀井の後釜として期待できる選手達。森はチームではショートだが、U18ではセンターとしても高い能力を見せていただけに、最初から外野手として狙うというのも面白いだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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